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窓の外には台風一過のさわやかな青空が広がっていた。
それとは裏腹に、あたしの気分はまるで晴れず、胃の辺りには運動会の徒競走で順番を待つ時に似た感覚があった。
制服を着たあたしは、近所のCDショップに立ち寄り、通夜の行われる斎場まで歩いて向かった。
自宅から街道沿いを山側に1キロほど行ったところにある斎場だった。
通夜となるホールには既に何人かの組員が集まっていて、シゲルもその中にいた。
それぞれと挨拶を交わしたけれど、皆一様に言葉少なく厳しい表情だった。
人一倍血の気の多い暴力団組員達のことだ。
復讐に血をたぎらせている者もいるだろう。
政やんの両親は既に亡くなっていて、兄弟もおらず、組が一切を取り仕切るのだとシゲルが言った。
到着予定の11時前になると、いつの間にか来ていた純也があたしとシゲルを呼びに来た。
霊安室の入り口には遠藤さんの他に2人の組員、そしてヒロちゃん、チャンパー、美穂子さんが揃っていた。
かしこまった態度の係員が2人並び、片方が静かな声で説明を始めた。
つい今しがた大学病院から帰ってきた政やんは、既に霊安室の中にいるという。
そして遠回しに、季節柄と日数を考慮して冷凍されて戻って来たということを告げた。
通常のそれとは違い、通夜や告別式の最中の祭壇にはダミーの棺が置かれ、一般の弔問客への顔見せはしないということだった。
只、今ここにいる親しい関係の者だけがこれから対面出来るという。
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