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汗も…
涙も…
怒りも…
人類の総力を結集させ、紅蓮の猛火と化す魔法は、今にも大陸竜に最後の一撃を繰り出さんと銃口から溢れ返る。
だが、まだだ。
並の魔獣であれば存在そのものを跡形もなく消し去ってしまう程の魔力を以てしても、リーンはまだ満足しない。
「もっと力を…この闘いを確実に終わられる決定力を…!」
強烈な目眩と、四肢の末端から力が抜けていく感覚…
魔力の切れの兆候(ちょうこう)が表れ始める。
もっと魔力を籠めなければ…
でもここで気絶しては全てが無駄になる…
相反する意思が、心の中で葛藤する。
「ぐっ!」
リーンの腕を貫く激痛。
次いで、足や腰にも…
「うぁあっ!!?」
目の前にある巨大球体に集中し過ぎたせいで、スピアーに取り囲まれている事にさえ気付かなかった。
リーンの各所を貫く肉片は、まるで糸を通した操り人形のよう。
意識が飛びそうな痛みの中で…
人形は、笑う。
「…ありがとう、おかけで身体を固定出来る…!」
体中の魔力を一気にレベリオンへと注ぎ、力を失う手足。
しかし銃口の向く先は定まったまま。
ほんの僅かに残った人差し指の感覚だけを頼りに、リーンはトリガーを更に深く押し込む。
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