尊(トうと)き者(モの)達

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「暑い…」 これを言ったのはもう何度目になるか… 呼吸の度に口を開けて入ってくる空気は喉を枯らして肺を蒸し焼きにしてしまいそうだ。 夕暮れにタロンを出てから半日、ほとんど気温の下がらない蒸し暑い砂漠を歩き続け、口から出る言葉といえば「暑い」の一言。 それでもまだ夜は増しな方。 朝がきて太陽が昇ると、直射日光とそれを吸い込んだ砂の地熱で猛烈に体力と水分を奪っていく… 以前フリーマンが言った通り、完全に海が見えなくなってからというもの、気温は更に上昇し、歩くごとに体温が上がっていくような錯覚さえ覚える。 「しかし参ったなぁ、まさか今が大乾期だったとはよぉ」 ーー大乾期。不定期に訪れる乾期と大陸でも稀にみる暑さが重なり、エルサマールの生命線ともいえる大きな川が枯れてしまう時期を指す。 大陸の人間は大乾期を肌で感じることが出来るというがーー 「ジーサン…アンタ確かエルサマールの出だったわよね…?」 エメラルダの冷たい視線がフリーマンに刺さる… 「…いやー、大陸を離れて大分経つからなぁー、都会育ちが身に染み付いちまったかな?ガハハ!…ハ、ハハ…」 メンバーの白い眼が一点に集中する…
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