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それは今でも思い出したくもない苦い記憶で……
絶対に早々に寿退社して会社を辞めるんだ！と心に決めていたはずなのに、気づくと私は彼女と近い歳月を会社で過ごしていた。
学生時代のバイトも１年以上続かなかった私が今もこうして同じ会社に勤めていることが奇跡のようなもので、それだけは親や友人たちに褒められている。
―――今となっては褒められても素直に喜べないっていうのが本音だけど……
結婚を焦り、周りからも急かされていた20代。
でも30歳も過ぎると不思議と焦りも消え、周りからの反応も変わってきた。
今は昔と違って婚期も随分遅くなってるみたいだからね、と言っていた両親も諦めたらしく今では結婚の話はおろか恋人の有無についても触れてくることはなくなった。
逆に最近よく言われるのが個人年金とか身体のメンテナンスばかりで、まるで今後の人生を１人で生きてゆく準備でもさせれているような気がする。
別にいいんだけど……
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