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そんなもん関係ねーじゃん。
なんで“優しいお兄ちゃん”でいなきゃいなんねーワケ?
もどかしいし、めんどくさい。
もっと楽な女を好きになりたかった。
「それは光栄だよ、ニナは僕にとって妹だからさ」
どの口が言ってんだよ?
自分で突っ込んで虚しい。
「そっか、よかった。でも……」
並んで歩いているのに、それ以上の壁が存在している。
崩してはいけない。
緻密に組み上げた積み木のように、完璧にニナが望む俺を演じてきたんだ。
全てが水の泡になるなんて冗談じゃない。
「ん?」
立ち止まり、ニナを見る。
不敵に笑うニナは俺にとって小悪魔だ。
「ニナは、お兄ちゃんなタケルくんが大キライ」
背伸びしたニナはキスしてきた。
ホッペに。
なんだこれ?
つーか、爆弾発言された?
「なに?」
「ドンカン、ばーか」
ニナの言いたいことがさっぱりわからん。
睨んでくる姿も可愛いなんて俺って病んでる?
「もういい、これからもニナのお兄ちゃんでいてね?」
ホッペをリスみたいに膨らませるニナはイタズラっ子ぽく笑う。
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