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あたしよりお姫様らしい方。
少し頬が痩けているように見えるのは、気のせいだろう。
「亡き正妃とわしの子、サフィニアだ」
広間が一斉にあたしに注目する。
こんなにも大勢の人に見られる機会など今までなかったから、恥ずかしくて尻込みしてしまいそう。
頬に熱が宿るのがわかる。
「サフィニアは今まで死んだものと思われていた。今から16年前に当時の左大臣、王宮の魔術師・ルクシーダが画策し、シュメール将軍に誘拐させた。当時、犯人は分からなかった。そしてルクシーダは別の罪により王宮を追われ、左大臣も正妃が亡くなった直後に王宮から去ったーー」
お父様は事のあらましと顛末を簡単に貴族たちに説明した。
あたしにとっては他人事だ。
心が冷めていく。
お姫様になったのはこんなお披露目の為じゃないもの。
「ここで王位継承権を変える。1位にサフィニアを据える。その為の教育も現在行っている」
広間全体が騒めく。
あたしもお父様の言葉の意味が理解出来ない。
心は冷めているのに、頭の中にいろんな言葉が浮かんでは消える。
だが、次のお父様の言葉にあたしの心が騒めく。
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