2人が本棚に入れています
本棚に追加
王宮にある広間。
中央には煌びやかなシャンデリアがそびえている。
着飾った大人たち。
今宵は王から大事な話があるというふうに貴族は聞いているらしい。
確かにあたしのことはまだ国内だけでなく、王都にさえ知らされていない王宮だけに秘密。
もちろんローダンの両親にも知らされていないと聞く。
おそらくは両親が権力を欲することを嫌がったのだろう。
そんな王宮の貴族みたいな方たちじゃない。
拾ったあたしにひたすら優しさと愛情を与えてくれた懐の広い方たちなのに。
そんな無粋なことを疑われること自体があたしは不快だった。
でも王宮とはそういう場所。
足の引きずり合いなんて当たり前で。
常に他者の弱みを握ろうと画策している。
いわば猛獣の檻の中にあたしはいるのだ。
半月も過ごせば嫌でもわかってしまう。
あたしはそこまで馬鹿ではない。
「皆に集まってもらったのは他でもない。我が娘を紹介しよう」
階段の1番上にいるのはお父様とあたし。
見下ろす形で広間を見ると大勢の貴族が着飾っている。
注目が集まっているのはあたしだ。
距離があるが皆訝しげにあたしを見ている。
その中でシャーロット姉様を見つけた。
誰よりも華やかな雰囲気を身にまとい、ピンクのドレスはシャーロット姉様にさらに美しい彩りを与えている。
最初のコメントを投稿しよう!