第4章・ファーストダンスはあなたと……。

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「この国は女王が存在した前例がない。故に次期王はサフィニアだが、サフィニアに王となる気がないのであれば、第1王子のクルストに嫁がせ、クルストを王とする」 やめてっ。 なんで?なんであたしがクルスト兄様と結婚しなきゃいけないのっ? あたしはこんなことの為にっ、クルスト兄様と結婚するためにお姫様になったんじゃないわっ。 だってもうこの手は血で汚れているのに……。 泣きたかった。 でも、泣いてはいけなかった。 クルスト兄様との結婚なんて冗談じゃない。 そこからあたしの思考は止まった。 何かに縋り付きたくて、ジェスを探した。 お父様は大臣たちと何かを話してるっぽい。 所詮あたしには関係のないこと。 広間に流れていたワルツの音楽が大きくなっていた。 美しい音色、優雅なメロディは重厚でもあった。 だからなのか、少しだけ気分が高揚していることにあたしは気付かない。 「ジェス」 広間の隅の方で仏頂面しているジェスを見つけた。 黒のタキシードに身を包み、軽く頭を下げられた。 「サフィニア様、今日はお招きいただき、ありがとうございます」 今日のジェスはあたしの世話係ではない。 貴族としてこの場にいる。
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