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恵が、学校へ出てきたのは、あれから、3日後のことだった。
高志も、まだ、体調が悪いらしく、今日も欠席していた。
帰り道、いつもの分かれ道まで来た…。
「ねぇ、恵。話があるんだ。大事な話。」
「…今日でないとダメ?」
「うん。」
「わかった、寄るよ…」
分かれ道を右に入る。
見慣れた、沙樹の家。
「お邪魔します。…あれ?おばさんは?」
「ママは、今日は、留守よ。…高校の同級生の人達で、日帰りのバス旅行なんだって。だから、帰るのは、夜になってからなの。
パパが、出張だって、知っていて、計画たてたんだから、本当、困っちゃうわね…。
恵、サイダー飲む?」
「ああ…。」
普段から、しょっちゅう二人でいるのに、ちょっと緊張するよな。
でも、なんで、両親がいないときを、狙って、俺を、家にあげたのかは、すぐに、わかることになる…。
まだ、時たま、肌寒い日があるが、今日は、爽やかで、リビングの窓を開けても、大丈夫みたいだ。
「…氷呀、雪華…いるなら、姿を見せて。」
そう庭に向かって、呼び掛けると、尻尾をフリフリしながら、見覚えのある白い犬が、2匹現れた。
「…さ、沙樹?…そいつらって…もしかして…あの時の犬…なのか?」
「うん、そう。…あっ、でも、ひとつ訂正だよ。
この子達は、犬じゃなくて、狼だから…。」
「狼だって!?」
そう言われて、よく見て見れば、犬よりも顔立ちが、精悍で、目付きも、鋭い。脚も、かなり筋肉質だ。
それより、毛並みが、すごくよくて、純白の体毛が、艶々と光輝いている。
「綺麗だな。」
「そうでしょう。だって、この子達は、神様の御使いだもの。」
「はぁ?…?」
いきなり神様の御使いだとか、沙樹が言い出すから、俺は、あんぐり口を開けてしまった。
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