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「面倒だから、ちゃっちゃか終わらせてもらうぜ」
俺の体から発光分子が分散していく。
淡い緑色の光に両足が包まれた。
腰を落として、両足で踏ん張った。
「せー、の!」
一瞬にして大空を舞う体。
堀も城壁も軽々と越えていく。
この仕事はあんまり好きじゃないが、頬で風を切れるこの瞬間と、強化体と呼ばれるこの体はとびっきり最高だ。
体を一回転させて着地する場所に目を向ける。
任務完了まであと少しだ。
「プログラム:ハードコート」
両足に纏った光が鈍く濁っていく。
鉛化させた体は地面に向かって、真っ直ぐ落ちていった。
爆音が響き、砂塵が舞い上がる。
苦い砂の匂いが鼻の中に広がった。
分厚い地面を突き破った先は、人工的に造られた地下道が通っているようだ。
調査結果は寸分違わずに合っていた。
ビンゴってやつだ。
本部から生体反応があったことも報告が届いている。
恐らく、この近くに潜んでいるはずだ。
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