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「言ってる意味がよくわかりませんね」
「アホか。バンされている……禁止とされている事項の研究してんの
バレバレなんだよ。おまけに部下までそこら中に配備してよ。しらばっくれたって言い逃れできねえっての」
「ふむ。しかしそれでも、私は貴方ほどの方がみえるとは予想外でしたよ、レイヴン特務官」
言いながら、ベレンドットは壁に沿って歩みを進めていく。
壁に手を当てながら。
「あんた、何言ってんの?俺、組織ん中じゃ一番下っ端のほうだぜ?」
その言葉にベレンドットが目を見開いた。
暗闇の中でも、俺の目は奴の僅かな動きでも捉えてみせた。
「そうでしたか。いやはや、異端殺しと呼ばれるぐらいだから、それなりの地位の者だと勝手に想像していましたが、どうしてなかなか」
「挑発してんの、あんた。……んな雑談はどーでもいいんだよ」
「そうですか?私はもう少し話していたいのですが」
そう言って、奴はまた一歩、足を動かした。
「いいからさっさとあんたが研究してたブツ出せよ。エレメントエイドとかいう研究書」
「それはできない相談ですね」
ベレンドットはそう言うと、歩みを止めた。
右手を壁につけたまま。
そこに何があるのかは見て取れているが。
「あんま抵抗すると力づくで持っていくぜ?」
「残念ながら、それもできない相談です、ね!!!」
ベレンドットが右手でレバーを掴み、一気に引き下ろした。
すると、天井に金色の術式が浮かび上がった。
古い光子式術だ。
空もない地下で、巨大な雷が落ちた。
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