序章 -未来神話の始まり-

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予想通りの光景だった。 禁止とされている薬品だらけの棚。 そこら中に設置されたコンピュータ。 「臭いな」 脳髄の奥まで届く刺激臭。 手を覆っても気持ち悪くなってくる。 「やっぱ、しらばっくれてたんじゃねえか」 手間をかけさせやがって。 棚の中の試薬品を探っていく。 一般的な薬しか置いていないが、おそらく、カモフラージュだろう。 そして、先行調査でスキャンした地図が示していた、本当の目的の場所が視界の内に捉えられた。 地図の場所には、天井まである巨大な薬品棚が置いてあった。 禁薬が次から次へと見つかる。 肩の上でぐったりとしているベレンドットを床に落とした。 鈍い音が立った。 「さて、と」 迷うことなく、俺は腕に力を込めた。 横から思いっきり棚を叩いてぶち壊した。 埃が立つこともなく、棚は細かくあちらこちらに散らばった。
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