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途中で電車が過ぎても男の子は叫んでた。昔、何かあったのかな。気持ちを全部吐き出すようにお腹の底から叫んでる。
叫び終わった後、男の子はゆっくりと私に近付いてきた。
「……名前。」
「え…?」
「あんたの名前。教えろよ。」
困っちゃった。死にに来たのに気がついたらこんな事になってる。
「わ、わたしは………ツヅリ。」
「そっか、オレはタクマ。…これで友達だな。」
ニカッと笑ってタクマくんは私の手を掴みブンブンと振り回した。何だかほっぺがあついな。
後ろで踏み切りの棒が今度はゆっくり上がった。
私は、握手してた手を振りほどいて線路の向こう側に走った。だって、ずっとあのままだったらきっと頭が爆発しちゃいそうだったもん。
「もう死のうとするなよー!」
私の気持ちなんて全く知らないでノンキにタクマくんは手を振っている。
「………ばーか!」
私はタクマくんにあっかんべーをして、また走り出した。
…ホントに、来てくれるのかな。
────ママ。つづりね、気になる男の子が出来たかも!────
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