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急いで杉浦さんの元に戻ると案外大人しく言われた場所に座っていた。
「で? 亡くなったウサギは何処にいる…お悔やみ言いに来てやったんだけど?」
口角を上げ分かってはいるけど敢えて言いますみたいな顔してる杉浦さんにわざとらしい咳ばらいをする…
『うさぎさんは天国に…って ぎゃぁぁぁぁぁ~!!』
さっき彼の手から取り上げ枕の下に隠したはずのノートを杉浦さんが私の目の前にヒラヒラと翳すものだから思わず大声が出てしまう…
『か、返してくださいっっ』
「そんな見られたくないのかこれ?」
返事を返す代わりにコクコク頷く。
「じゃあちゃんと真面目に答えろよ?」
『え?…は、はい。』
なんだろ…なんて考え首を傾げながら杉浦さんの次の言葉を待つ。
「仕事……なんでサボる?
最近ずっと無遅刻 無欠勤で来てたろ…
まぁここの所ずっと 上の課の人事異動なんかで忙しくてろくな仕事を指示出来なかったからあんまり強く言えないが……」
少し目を伏せる杉浦さんに罪悪感が胸を閉め躊躇いがちに呟く…
『あ、あの違うんです…別に仕事が嫌って訳じゃなくて…その…
き、昨日ちょっと友達と電話…しちゃったりなんかして寝るのがその…遅く』
ゴニョゴニョと口ごもりながら俯いたままチラっと上目遣いで杉浦さんをのぞき見る…
「それが理由か?」
『はい…。すみませんっ以後気をつけます』
「ん~まぁいい。
それと、嘘でもあんまり動物殺すのはよせ。
そのうち化けて出られるぞ」
『え゛!?』
私が部屋じゅうをグルグルと見回すと杉浦さんが肩を震わせ笑い出す…
「はは…いちいち面白い奴だな」
それを聞いて頬がカァァっと熱くなるのがわかったけどこの際気にしない。
『あの、お茶かコーヒーでも飲みます?』
「そんな悠長にしてる暇ない。
行くところがある、付き合え。」
突然 立ち上がる杉浦さんを慌てて見つめ口を開く
『付き合うって…ど、何処に?』
「アイス食いに」
『はい?』
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