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…………。
ピリリリ…
駅前にある噴水の淵に座り、前を歩くカップルや数人の酔った若い男女が笑いながら通り過ぎるのをボーッとした意識の傍らで見ていた。
後ろにある噴水は青や黄色、時にピンク色にライトアップされ土曜の夜に花を添えている…
ピリリリ…
鳴り響く携帯にようやく意識を向けられ手に取った、
それが千夏でも久志でもありませんように、そう祈りながら。
あ………
電話の相手を見た瞬間 記憶の片隅に追いやられていた 鍵の存在を思い出しそっとため息を落とす…
だって、千夏から語られた真実は余りにショックで私を絶望の淵に追いやってくれた、
数分前まで結婚なんて言葉に浮かれたり悩んだりしていたのが嘘の様に…
あれから どのぐらい経ったのか…それよりもどうやってここまで来たのか、それすら覚えていない。
ピリリリ…
とりあえず鳴り響く携帯の通話ボタンを押し耳に押し当てた。
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