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「ったく社食ってろくな飯がないよな?」
『す、杉浦さん…?』
目をしばたたく私を余所に はあ、なんてため息交じりに椅子に座る杉浦さんは何故か自分のトレイに乗ったおかずを2、3個掴み次々と私のトレイに移しだす……
『えっ? え? ちょ……』
「取り過ぎたからやる」
ぶっきらぼうにそう言う杉浦さんに首を振り食欲がないと伝えようとした瞬間 今度は私の隣に誰かがトレイを置き腰掛けた……
「くれるって言うんだから遠慮しないで貰っておきな~
心配しなくても奏はムカつく程 稼いでるから大丈夫よ」
『み、美加先輩…!?』
移した目線の先にはハローなんて軽く手を上げる美加先輩……
「食べな 食べな」
「そ。ちゃんと食べないと一日持たないしな?」
「それに仕事も押し付けらんないしね?」
ニッコリ笑顔で杉浦さんの言葉に付け足す美加先輩は何処か楽しそうで意地悪な瞳を向けていた……
「お前な……」
「何よ? 冗談でしょ」
冗談交じりに睨み合う2人は同僚って言うより夫婦みたいで息がピッタリな所には不思議と笑いがこみ上げてきた……
隠す事なく笑みを零すと杉浦さんも美加先輩も怒るどころか優しい瞳を向けてくれる、
きっと、ハッキリとはわからないけれど 杉浦さんや美加先輩が気遣ってくれたのかもしれないと私も微笑み返し
『ありがとうございます』
そう呟いておいた。
だけど2人とも分かりやすい程 首を捻り何の事かと誤魔化していたけど。
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