キス~8~-2-2

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残ってるタルトを味わいながら杉浦さんとの事を思想していると紅茶を飲んでいた熊田さんが呟く… 「そう言えばさっきも聞こうと思ってたんだが最近 姿見なかったね 他の人に聞いたら部署が変わったって言ってたけど、そうなのかい?」 『あ、はい…今は杉浦さんの下で働かせて貰ってます』 そう言葉を落とせば熊田さんは少し驚いたような表情を浮かべた… 「そうか…朝比奈ちゃんは杉浦くんの下で働いてるのか、 彼はやり手だから勉強になるだろう?」 『あ、はい…いい刺激を受けてます。 私…熊田さんも知ってる通り元々仕事全然出来なかったから 前の部署でもお茶出ししたりとかばかりだったし、自分自身も楽な方が良いってアフターファイブだけを楽しみに生きてた感じで… だけど、部署が移って杉浦さんや美加せんぱ……美加月さんと一緒に仕事するようになって… とても体一つじゃ足りないぐらいの仕事抱えてたり、そういう姿を見て私もこのままじゃダメだって思えたんです… 特に美加月さんは同じ女性なのにどうしてこうも違うんだろうってよく思います… 最近なんかは本当にスーパーマンでもない限り熟せないスケジュールだったりして、自分の無能さを痛感してます…』 あはは、なんて自嘲するような薄笑いを浮かべると熊田さんは優しい笑みを浮かべる… 「朝比奈ちゃんはそのままでいいんだよ… 人には向き、不向きがあるんだから…こうやって話してるだけで人を和ます事ができるのも朝比奈ちゃんの才能だよ」 言われてキョトンと目を見張ってしまった…私といて熊田さんは和んだりしてるんだろうかと。 「それにあれだ…美加月くんの事は少々大人げなかったかもしれないな…」 紅茶のカップを口に付け小さな声でブツブツと呟く熊田さんが、何を言っているのか分からなかったけど、優しいその表情を見てると聞き返す必要もない様な気がして私も紅茶を口へと運んだ…
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