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差し出された手を掴み、立ち上がりながらお礼を口にした…
『ありがとうございます』
「いや、こっちこそ悪かったね」
申し訳なさそうに肩を竦める白髪が印象的な熊田さんは数多くの飲食店を経営している社長さん。とっても気さくな人で私はよく前の部署でお茶出しなんかをしていた時に顔見知りになっていた…
その熊田さんがその顔をくしゃっとして笑い 痛くなかったかい? なんて聞くから私は苦笑いを浮かべ お尻がちょっと。 なんて冗談を言う…
「あはは…
お尻か…それは悪かったね、嫁入り前の体に何かあったら大変だ。
お、そうだ…そう言えば最…」
「熊田さんっ!!」
熊田さんが何か話している途中…奥の会議室から息を切らした美加先輩が叫びながら走ってくるのが見えた…
どうしたんだろう、なんて首を傾げていれば横に立つ熊田さんの顔がまた険しいものに変わる…
「熊田さん! すみませんっ
さっき私が言った事は取り消し謝ります、すぐに別の企画書を用意しますので」
「いや、もう結構…間に立ってくれた杉浦くんには悪いが今回この話は無かった事にして貰いたい…」
何の話しをしているのか私には分からなかったけど その空気からカナリ緊迫した状況なのだけは分かった…
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