キス~8~-2-2

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「さっきは本当にすみませんでした、どうかしてたんです…私。 もう一度……もう一度だけチャンスをくださいっ!」 美加先輩が深々と頭を下げるのを見て熊田さんはため息を落とす… 「君は、クライアントの私に妥協しろと言ったんだよ… 初めにも話したが今回の企画はうちでも初めての試みでこれでどうにか手応えを感じたいと必死になって積み上げてきたものだ… それを妥協しろなんてよく言えたものだな、他にもやらせて欲しいと申し出てる会社が山というほどあったのに、杉浦くんがワザワザうちに来て納得のいくまで付き合うと頭まで下げるから、だからお願いしたと言うのに…正直ガッカリだ… 今後一切君の所での仕事は断らせてもらう」 「ま、待ってください! そんなつもりじゃ…すぐに書き換えて来ますっ」 そう言った美加先輩はすぐに踵を返し来た道へと走り去ってしまった… その後ろ姿を見つめ ふぅ。なんて呆れたようなため息を落とした熊田さんはポカンと呆気にとられている私に視線を向けた…
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