33人が本棚に入れています
本棚に追加
/26ページ
「で? なんか見せたいもんがあって来たんだろ?
そんな所で突っ立ってていいのか?」
『……!』
ボールに入った何かをかき混ぜながらそう言葉を落とすその声にハッとして鞄に入れていた企画書をそこから掴み出し、彼がいる方へ足を向ける…
その短い時間の最中に企画書の一番上に書かれている、彼の名前を確認した…
ーパティシエ・忠長 秀次ー
ただながさん…ただながさん…
忘れないように心の中で復唱しながら顔はにっこり笑い彼の側までたどり着く…
『あの…』
「あ~悪いけど、そこの洗い場で手を洗って貰えるか?
話はそれからだ。」
『あ……は、はい』
料理を作る場所で確かに外から来たら先ず一番にする事なのに…
頭では分かっていたのに、迂闊だったと急いで置いてある石鹸を泡立て手を綺麗に洗った…
最初のコメントを投稿しよう!