キス~10~-2

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「おう、悪いなこんな遅くに」 『いえ、お店が優先ですから…その合間に作って頂けるだけで助かりましゅ』 ハッとした時にはもう遅く、忠長さんの笑い声が頭上から降ってきた… 「バ~カ、昨日噛むなって言ったろ? 学習能力ねぇのな菜緒は」 グシャグシャと私の頭を撫でながら まだ笑い続ける忠長さんに、すいません。と恐らく赤くなっているであろう顔を反らせながら呟いた… やっぱりどうしても、緊張する… 初めて任された自分の仕事だから、ちゃんとしようって思えば思うほど空回り… 「ほら、とりあえず2つは作っておいたから…見てみ。 後の2つは明日だな、クリスマスイブだから店が混雑するのが目に見えてる、作れるのは夜遅くになるけど大丈夫か?」 『は、はい。 勿論大丈夫です』 頷いた後、忠長さんに渡されたケーキを見つめた… 一口サイズに切られたケーキ… 私の提案したケーキはお皿にそれぞれ4つずつ色んな種類のケーキを一口サイズにして出す事だった… それだったら、大人の主婦の人が好みそうな物も、子供が喜びそうな見た目も可愛いケーキも、甘い物が苦手な男の人にも大丈夫な甘さを控えたケーキも、色んなニーズに合わせて出せると思ったから… 特にイベントは家族連れが多くなるようだから、子供も奥さんもその旦那さんも楽しめるようにと考えた… まあ私は考えるだけで、実際作るのは忠長さんだけど…
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