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わっ! なんて声を上げ、引っ張り立たされた私は後ろを振り返る事はせず、目の前で驚いた顔を向けてる忠長さんを見続けた…
背中に当たる微かな感触と優しい香りが振り向かなくても誰なのかを知らせていたから…
「どちらさん?」
立ち上がった忠長さんが私と交互に、後ろにいる杉浦さんに視線を移す…
『あ、あの…っ』
「上司の杉浦です。 会場に朝比奈の姿が見えないもので探しに来ました」
会社にいる時の当たり障りのない口調で、淡々とそう呟く杉浦さんを、しばらく見つめてた忠長さんは納得したように頷く…
「菜緒の上司か…」
そう答えた後すぐに、パティシエの忠長です。 と軽く挨拶をする忠長さんと、ああ あなたが。 と答える杉浦さんに、何故か背筋が寒くなる…
「お会いするのは初めてですね、いつも朝比奈から話しは伺っていますよ…。
・・
色々とうちの朝比奈がご迷惑掛けていたんじゃないですか? 何分 こういう経験が少ないもので」
声は穏やかだけど、明らかに言い方に苛立ちをうつす杉浦さんに、焦っていると忠長さんが静かに口を開く…
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