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裏の通路を進み、奥のテラスへとたどり着く…
ザワザワとした会場とは違い静寂に包まれたこの場所は、敷地内の庭が一望出来る場所だった、その綺麗な景色に何故だか心がホッとして短く息を吐く。
ここ最近、このイベントの準備ですごく忙しい毎日だったな…
前の私ならすぐに音を上げてたと思うくらい 睡眠時間は少ないし、動く量も前とは比較にならないくらい行動してた…それなのに愚痴も言わずに頑張れた。
前の私を知ってる、千夏や久志が聞いたら腰抜かしちゃうんだろうな…きっと。
それだけ、昔の私は仕事に熱意も情熱も、楽しささえも見出していなかったから…
でも、こんな気持ちになれたのは きっと、杉浦さんがいてくれたからだと思う…1人じゃきっと変われなかった。
いつも駄目だと決めつけず、やれば出来るんだと信じてくれたから。
夕暮れの 少し赤みがかかった空を見つめ杉浦さんの優しい笑みを思い浮かべ…瞳を伏せた…
『会いたい…な。』
ポツリと呟いた私の小さな願いは、冷たい風に吹かれ消えていく…
クリスマスのあの日から本社に行ったっきりの杉浦さんも私と同じように “会いたい” と思ってくれる時があるのかな…?
スケッチブックに描いたような綺麗な空を見上げ答えの返る筈のない想いをそこへ投げかけた…
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