キス~11~

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「お疲れ」 空に気を取られていた私は、背後からした声にビクリと体を飛び上がらせた… まさかと思いつつ、淡い期待を胸に秘めながら振り向いた先には優しく微笑む杉浦さん…ではなく、コックコートに身を包んだ忠長さんが立っていた… 『あ、…お疲れさまです』 「休憩か? って、どうみてもそうだよな。 菜緒にサボる度胸はなさそうだもんな?」 ははは、なんて笑う忠長さんを見つめ、 昔は結構サボってた事が頭に浮かぶも口に出すのはやめておく。 『忠長さんも休憩ですか?』 「ああ、そう。 ずっとデザートの説明とかで喋りっぱなしだったからな、休憩しようかと考えてたら菜緒が歩いてくのが見えたから… ほら。」 突然投げて渡されたモノを慌てて両手でキャッチする… 珈琲? 「さっき、そこの自販機で買った。 熊田のおっさんの奢りだから遠慮しないで飲め」 『ありがとうございます…』 頭を下げると、俺に礼は要らねぇだろ。 なんてぶっきら棒に言葉を落とし忠長さんは開けたばかりの珈琲を煽りながら私の横まで歩いてきた…
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