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「……。」
『……。』
覚悟を決めた私達に静かな沈黙が包む…
重い空気と言うよりは、お互いにどう切り出せばいいものかと悩んでいる…そんな感じの空気。
「ん~どこから話せばいいのか、よく分からないけど。
俺な昔から両親と少し折り合いが悪かったんだよ、顔合わせれば言い合いばかりしてて。
その間によく入ってくれてたのが “彼女” だった、それでなんとか保っているような感じで、だいいち20代後半の男が不仲な親と同居してるなんておかしな話だろ?
その頃は、もう今の会社に入ってたし…金に困っていた訳でもない。
だけど、彼女が…俺にずっと言ってたんだ、
ーちゃんと向き合えるようになるまで逃げちゃダメだ。ー って」
小さく笑いを落とす杉浦さんは、私から視線を外し床に敷き詰められているカーペットを見つめていた…
不仲なその親元に、杉浦さんを止まらせるだけの力がある彼女さんは…杉浦さんにとってやっぱり特別な存在なんだと、改めて実感させられた。
少し沈みそうになる心に叱咤し、2人にどんな過去があろうと、最後までちゃんと耳を傾けようと深く息を吐き俯く彼を見つめる…
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