キス~12~-2

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「……。」 『……。』 覚悟を決めた私達に静かな沈黙が包む… 重い空気と言うよりは、お互いにどう切り出せばいいものかと悩んでいる…そんな感じの空気。 「ん~どこから話せばいいのか、よく分からないけど。 俺な昔から両親と少し折り合いが悪かったんだよ、顔合わせれば言い合いばかりしてて。 その間によく入ってくれてたのが “彼女” だった、それでなんとか保っているような感じで、だいいち20代後半の男が不仲な親と同居してるなんておかしな話だろ? その頃は、もう今の会社に入ってたし…金に困っていた訳でもない。 だけど、彼女が…俺にずっと言ってたんだ、 ーちゃんと向き合えるようになるまで逃げちゃダメだ。ー って」 小さく笑いを落とす杉浦さんは、私から視線を外し床に敷き詰められているカーペットを見つめていた… 不仲なその親元に、杉浦さんを止まらせるだけの力がある彼女さんは…杉浦さんにとってやっぱり特別な存在なんだと、改めて実感させられた。 少し沈みそうになる心に叱咤し、2人にどんな過去があろうと、最後までちゃんと耳を傾けようと深く息を吐き俯く彼を見つめる…
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