39人が本棚に入れています
本棚に追加
*奏一*
小走りで走り去る朝比奈を見つめ、小さくため息を落とし反対側で何がそんなに楽しいのか終始笑顔の木村さんの元へと向かう…
「あれ? 菜緒ちゃん行っちゃったの?」
「ええ。 貴方が俺と飲みたいと言っていたとかなんとか言って気を利かせて先に部屋に戻りましたよ」
そう答えた後、木村さんの横のスツールに座り 適当に飲み物を頼んだ…
「なんだ、菜緒ちゃん行っちゃったのか…
折角楽しく話してたのに。 しかし奏はよくここが分かったな?
菜緒ちゃんに発信機でも付けてんのか?」
ケラケラと笑う木村さんに心底呆れ、わざとらしく頭を抱える仕草を見せた…
「何、言ってるんです? 自分がメールで居場所知らせてきた癖に。」
そう、部屋で目が覚めた俺は、横に朝比奈がいない事に驚いて、探そうとした所…メールを受信している事に気が付いた。
【君の愛しいお姫様と最上階のBARにいるよ、目が覚めたらおいで(ハート) 】
ご丁寧に最後にハートマークまで付けて…
それで、直ぐに着替えを済まし上がって来たはいいが…
入口から見えた2人の表情が、余りにも悄々としていて、声をかける事を躊躇っていたら木村さんが俺に気付いて、今に至る…
最初のコメントを投稿しよう!