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「でも、良い子だよな…彼女」
朝比奈が出て行ったドアの方を見つめ そう呟く木村さんに、ええ。 と肯定する言葉を落とせば驚いた顔をこっちへ向ける…
「ま~ったく、少しは謙遜しろよな」
肩を肘で突つかれ、自分でも呆れるぐらいの苦笑いが漏れた…
謙遜する気も起きないのはきっと、俺自身が呆れるぐらい彼女に想いを寄せているからだろう…
「でも安心した、最後に会った時とは随分表情も柔らかくなってるし、なにより背中から幸せオーラが出てる」
「…は?」
クスクス笑い楽しむ木村さんの方こそ、少しも変わっていない…
「そっちこそ、前と変わらずな感じですね…
その童顔なんて、更に進んで 今じゃ俺より年下に見えますよ…きっと」
昔から気にしている “童顔” というキーワードに木村さんは、言ってくれるな。 なんて悔しそうな顔を浮かべる…
昔から、信じられないぐらい若く見えて…入社当時、同じ新入社員なのかと間違えたぐらいだ。
だけど、その時には今の俺と同じ役職で…俺は彼の下に回された。
木村さんはその時から人当たりのいい性格で、面倒見が良かったけど…初めの頃 何故か俺とよく衝突した。まあその殆どの原因は俺だけど。
それでも、そんなのは初めの内だけで、仕事面でも人間的にも優れている彼をすぐに尊敬するようになって関係はずっと良くなったように思う。
美加に惚れてるのが分かって意地悪して遊んだりもしたしな。
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