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「そういや美加に聞いたけど、今は本社を離れて地方で仕事してんだろ?
菜緒ちゃんともそこで知り合ったって美加に聞いてるけど、そうなの?」
木村さんに顔を覗き込まれ思わず微妙な顔を浮かべてしまう…
「まあ、そんな感じです」
まさか小さい頃に会ってるなんて言えなくて思わず言葉を濁した…その顔を見て木村さんはその真意を測ろうとしているみたいだったが、何も言わない俺に直ぐにそれも諦めて話題を逸らす…
「本社にはいつ戻る予定になってる?」
「えっと近い内に。 そろそろ向こうも限界のようなんで」
「だろうな。 前はそれなりのメンバーがいたけど、今じゃ頼りになるのは企画部の連中と奏ぐらいだもんな?」
あはは。 と笑う彼を軽く睨み、ウエイターが遠慮がちに置いたタンブラーグラスに注がれたウーロン茶を口にする…
「自分が主力メンバーそっくり海外に連れて行った癖に、よく言いますよ」
「はは、確かにそうだ。
でも俺は1番奏を連れて行きたかったんだぞ、それをあんな簡単に蹴りやがって」
「……。」
また、肩を肘で突つく木村さんに軽く笑いながらも、その当時の光景が嫌でも俺の頭を巡った…
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