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*奏一*
「菜緒ちゃん、ビックリした顔浮かべてたけど…
戻る事 話して無かったの?」
「ええ、具体的にはまだ」
みんなで料理を食べた後、何故か愛美が菜緒を誘って庭の花を見に行くと言い出した為、2人は外に行き 残った俺は輝彦さんに誘われて姉さんの部屋へ来ていた。
姉さんらしい綺麗に整頓された部屋は、所々にフラワーアレンジメントが施されていて彼女は花が好きだったなあと思い起こさせてくれた。
「奏一くん もうこっちに戻って来ちゃえばいいのに」
「そういう訳にはいかないんですよ、あっちで自分待ちの仕事があるので」
「ん~そうか~」
演技ではない心底寂しそうな顔を浮かべるこの人は、やっぱり何処か憎めなくて…少し姉さんに似ているように思う。
心から人を想える人だ…
「お、そうだ。 奏一くんが来るって分かってから何かあげようかと思ってこの部屋整理してたんだけどね、そしたら懐かしい物が出てきてさ、見てみる?」
懐かしい物?
首を傾げながらも輝彦さんが取り出した少し大きめの箱を覗く…
「ほら、見てよ。 これ…小さい時の奏一くんと優香でしょ?
真ん中にいる子は誰か分からないけど…」
写真を手に取った俺は思わず あ!なんて驚きの声を口に出してしまった…
無表情でそっぽを向いてる俺と笑いながらピースを送る姉さん…
その間に泣きべそかきながら手で流れる涙を一生懸命拭いている仕草をして写っている女の子は、紛れもなく小さい時の朝比奈だ…
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