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瞼を伏せた杉浦さんの前髪に触れたくて、なんとか点滴のチューブを伸ばし握られていない方の手でそれに触れた…
細くて柔らかいその感触は、彼がそこにいるんだという実感を与えてくれる…
ずっと側にいてくれたんだ…
嬉しく思う反面、今度はいつまで居てくれるんだろうと疑念が頭に浮かぶ…
せめて退院するまでいてくれたらいいのにな…
そう思うけど、あの別れのメールを送ってしまったから それも無理かもしれない…
目が覚めたらそれで終わりなのかも…
そう思ったら眠ったままの…私を見つめる事もなく、愛を囁く事なんてない このままの彼でもいいから 側にいて欲しいなんて思ってしまう…
この刹那が永遠に続いてくれたらと、日村さんとの事を素直に認められない自分が…黒い影を纏ってそこに居た。
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