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ずっとこうして抱きしめてて欲しくて、離れようとする杉浦さんに抗って彼のスーツを離さなかった。
「菜緒…離して、顔みせて」
優しい口調で諭すようにそう言われてしまい、これ以上は無理だと握りしめるように掴んでいたスーツを離す…
ゆっくりと動いた杉浦さんは、私のおデコに自分のおデコを付け短く息を吐いた…
「良かった目覚めて…本当に」
震える声で瞳を揺らしながら私を見つめる杉浦さんに何度もごめんなさい。 と溢れてきた涙と一緒に伝えた…
「菜緒が謝る事なんて1つもない、無事で良かった」
私の頬に優しく触れ 流れる涙を掬う杉浦さんの頬に私も触れる…
お互いの息遣いを感じられる距離で、お互いの体温を目一杯感じた…
『…ごめんなさい』
抑えようとしても溢れでてくる好きの気持ちが止められなくて、今だけだからと心に何度も言い聞かせ、頭に浮かぶ日村さんの存在に蓋をし そっと自分から唇を合わせた…
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