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緊張しながらも後ろから抱きしめてくれる杉浦さんの腕にそっと自分の手を添えた…
その添えた私の手を絡め取るようにして握る杉浦さんが何か呟くのが聞こえ、私は意識を手から後ろへと向かわせる…
「向こうに行ったら…」
『はい』
言葉を溜めるように間を置く彼に堪らず返事を返し考える、
向こうって東京の事だよね…
「なるべく早く帰れるように仕事 調整するから。
今みたいに夜中まで1人で居させるような事はないようにするから」
そう言葉を落とす杉浦さんは私の肩に後ろから唇を当てた。
柔らかい唇の感触が肩に触れ思わず声にならない声が漏れそうになり唇をギュッと噛んで声を絞り出す…
『あの、大丈夫です。 杉浦さんの仕事の事はちゃんと理解しているつもりですし、それに私 結構杉浦さんの帰り待ってるの好きですよ。
掃除したり料理したり、楽しいです』
ニッコリ笑い後ろにいる杉浦さんに顔を向けるとホッとしたような顔が返って来た。
自分が仕事でいない間、私が寂しい思いしてるんじゃないかと気にしてくれて、東京行きを不安にさせないように ちゃんと考えてくれてる所が凄く嬉しかった…
きっとこのお風呂も ずっと1人で家にいる私を気遣っての事なのかも知れない…
そう思ったら胸にじんわり熱い物がこみ上げてきて思わず後ろを振り返り抱きついてしまった。
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