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開いた扉からはライトが照らされ私は少し目を細めた…
歩き出す杉浦さんから差し出された腕に手を絡めて私も歩き出すと何故か数人の拍手が聞こえ目を見開く…
え…?
「菜緒ちゃんおめでと~」
「朝比奈ちゃん綺麗~」
「菜緒~」
「朝比奈せんぱ~い」
そこに居たのは美加先輩と堀川さん、それに千夏と莉乃ちゃんまでもがいて驚き目を瞬く私に手を振っていた…
驚き過ぎて口をパクパクさせながら私は杉浦さんを見上げた…
『どうして…』
「ん? 独身最後のサプライズ」
ニッと笑う彼にまた涙腺が緩んでしまいそうになる…
こんな事、絶対あり得ないと思ってた…だって少し前に日村さんの事があってゴタゴタしてたから、仕事は休めないって そう思ってた。
杉浦さんが一体どんなマジックを使ったのか分からないけど、とりあえずみんなに頭を下げてその中央を歩いた…
バイオリン音が建物に共鳴しているその中を進んで行くと1番前の席に誰かが座っているのが目に止まる…
ゆっくりとこっちに振り向いたその姿は輝彦さんでお姉さんの小さな写真を持ってニッコリ微笑んでいた…その横には愛美ちゃんもいて私と杉浦さんに向けて手を振っている。
その姿に杉浦さんは少し照れ臭そうに笑い返し、横にいる私は涙腺を崩壊させていた。
我慢してたのに…
だけど、この日を迎える為には輝彦さんの存在無くしてあり得なかった訳で、彼がいつも杉浦さんを受け入れてずっと許し続けてくれたから、だからお姉さんの事も乗り越えられたんだと思うから…
やっぱり出席してくれた事は凄く嬉しくて涙無くしていられない。
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