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式を無事に終えて控え室に戻っている途中、私の頭を掠めていたのは杉浦さんのお母さんの事だった。
2人だけで挙げると伝えてしまっていたから、もし来てくれていたとしても声は掛けて貰えないんじゃないかなと思った。
少し俯きながら杉浦さんの横を歩いてると突然スタッフさんが私達を引き止める…
「あの、杉浦さま…
今さっさお客様がお見えになっていたんですが…」
『お客様?』
「はい、何度も式は始まっているので中に入られるように進めたのですが頑なに拒まれまして…
それでその、お手紙をお預かりしたんですが」
手紙? なんて首を傾げる杉浦さんの横で私はすぐにそれが誰だか分かった…
『あの! その人、どっちに行きました?』
「え…あの、つい先程あちらに…」
スタッフさんが指を指す方向は沢山の花が植えられている綺麗な庭で、ここからではその姿は見えない…
でもここの庭 結構広いからまだいるかもしれない…
私は徐にウェディングドレスの裾をまくり上げスタッフさんが指差す方へと走り出した…
このチャンスを逃したくない!
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