キス~16~

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*奏一* 『独身最後のサプライズです』 屈託のないその顔でそう呟かれれば、こみ上げていた動揺と微かな怒りがスーっと冷めていく… この生粋な笑顔を向けられて責められる人間なんていないんじゃないかと思うほどに、その笑顔からは健気さが感じられてもうため息しか落ちない。 そのまま 短く息を吐いた俺は菜緒の頭を撫でた… 「悪いけど、少しだけ席を外してて欲しい」 俺の呟く言葉に不安気に瞳を揺らし中々頷かないのを見て、俺は体を屈め菜緒と視線を合わせた… 「大丈夫だから、あそこに輝彦さんと愛美がいるだろ? あそこにいて、俺も直ぐに行くから」 菜緒が目線を向かわせた先に花に戯れる愛美と母親の存在に気付いたのか心配そうな顔を向ける輝彦さんがいる… 『…わ、分かりました』 そう呟いた彼女は心配そうに俺の手を軽く握った後、母親に会釈して踵を返し歩いて行った…
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