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「伝えて無かったのか?」
ジットリと責めるような杉浦さんの視線に耐えかねたのか突然美加先輩は立ち上がる。
「だって仕方ないじゃない、あの時の太一は忙しくて真面に睡眠も取れてないって言ってたのよ、それなのに結婚式なんて言ったら無理して倒れるんじゃないかって心配になったのよ!
だから落ち着いたら話そうと思ってたら……」
「今になったと?」
「ま、まあ。いいじゃないっすか落ち着いてくださいよ2人共。
今こうやって木村さんとも会えて結婚の報告も出来た訳だし過去の事は水に流して……ね?ね?」
美加先輩と杉浦さんの間に入った堀川さんはいつもの軽いノリでこの場の空気を変える、別に本気で言い合ってる訳じゃないんだろうけど気心知れ過ぎているからつい熱くなってしまうんだろう。
そんな光景も毎日見てたあの頃を思い出し少し新鮮だったりする。
「じゃあ2人も揃った事だし海にでも入りに行きましょうよ、ね? 莉乃ちゃん」
『え! 莉乃ちゃん?』
堀川さんの呼びかけにデシャブかのように目を丸くさせてると1番奥の席ここからでは堀川さんの影に隠れて見えない位置に彼女の姿を見つけた。
顔を少しだけ覗かせた彼女が お久しぶりです。 なんて会釈をするのが見え私も久しぶり~なんて言葉を交わした。
会うのいつ振りだろう。
「彼女、朝比奈ちゃんと仲良かったし俺が誘ったんすよ。
それにこういうのは大人数の方が楽しいっすからね」
楽しそうに笑う堀川さんに私も笑い返した……
会社を辞めてしまった今、彼女に会うにはこういう機会しかないから本当に嬉しい。
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