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脱衣所に着くともう既にシャワーを浴びているのか、水の流れる音が響いていた…
こことバスルームとのドアは磨りガラスで、こっちからは中の様子が見えないようになっているけど…私はなるべくそっちに視線を向けないようにした…
持っていた着替えを素早く見つけやすい棚に置いてリビングに戻ろうとしたら、杉浦さんがさっきまで着ていたワイシャツが洗濯籠に掛けてあるのが目にとまる…
そっとそれに手を伸ばして触れると何故か妙にドキドキした、
本当に杉浦さんと一緒になれて 生活を共にしているんだなって実感が湧いて。
勿論 少しだけ一緒に住んでいた時期もあったけど、やっぱり結婚する前と今じゃ気持ちが全然違う…
新しい土地に、新しい新居…
誰かが用意した場所に入る訳じゃなくて、2人一緒に築き上げていく事が新鮮でくすぐったくて私をドキドキさせた…
杉浦さんのワイシャツを手に持ったままそんな事を考えていれば突然バスルームのドアが開く音がして私の身体は飛び上がる…
「菜緒?」
『あ、あのもう出ますか!? ちょ、ちょっと待ってください
私直ぐに向こうに行きますから』
そう背を向けたまま慌てて言葉を落とせば 杉浦さんからは まだ出ないからいいよ。 なんて返事が返ってきた…
それを聞いてホッとしてるのもつかの間で杉浦さんは言葉を紡ぐ…
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