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「ふぁぁ、よく寝た~」
『……?』
誰あんた?って疑問より先に、今の聞かれた!? って焦りの方が先に立った。
だって会社の中では完璧に か弱くて可愛い“日村美優” でいるのに…
まあそれも、男と面倒な女の先輩限定だけど、あんな姿を他の男性社員に見られたら私の人生終わっちゃう。
とりあえず音のした1番後ろの席へと視線を投げる…
「ふぁぁ、よく寝た…ってちょっと休憩するつもりが爆睡するってどうだよ俺」
何かをブツブツと呟き、寝癖の付いてしまった髪を乱暴に触る彼を私は見続けた…
わざわざ誰も使っていない憩室まで新入社員を引っ張って来たのに、なんでいるのよコイツ。
しかも入って来た時 電気消えてたじゃない!
どうしようかと少し考えてみるけど、寝てたんなら今の会話も聞いていない可能性もあると白を切る事に決めた。
『あの、お疲れさまですぅ。 大丈夫ですかぁ?』
「……は? あんた誰?」
誰ってなんであんたにそんな事聞かれなきゃいけないのよ、てかあんたこそ誰なのよ!
見覚えのないその顔に思わず毒づきたくなるのをグッと堪えいつもの笑顔でニッコリ笑う…
『ここの上の部署にいる、日村美優ですぅ。
あなたは?』
「ここの上? ふ~ん。
お、やっべぇ 会議の時間過ぎてんじゃん!」
『はぃ? あの…』
椅子に掛けてあったスーツを掴みガタガタと立ち上がったかと思えば 私の横を通り過ぎ出口に向かう…
『え? ちょ、ちょっとっ』
別にさっさと出てってくれた方が今は都合がいいのに、それなのにここまで無視されるとなんだか癪に障り頭に来てドアを掴むその背中を呼び止めた…
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