~おまけ~

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カチャなんて小さく音を立て開いたドアからは前に会った時よりなんとなく痩せたように見える菜緒ちゃんが申し訳なさそうな顔を浮かべているのが見えた。 「菜緒、もう平気か?」 「あ、はい。 あの…ごめんなさい、折角堀川さん来てくれてるのに」 吐き気が起こると止められなくて。 なんてまた申し訳なさそうな顔をする菜緒ちゃんに俺は思いっきり顔を横へ振って見せた。 「菜緒ちゃんが謝る事ないよ、押しかけて来てるの俺だから」 なんて慌てて言葉を落とした俺に笑いかけた後 菜緒ちゃんはさっきは気付かなかったのか、ってあの状況じゃ無理もないけど。 ソファーに座っている桜課長に気付き目を丸くした。 「あの…会社の方?」 「ん? ああ。 俺の上司の桜課長」 菜緒ちゃんの問いかけに冷静に答えた杉浦さんの言葉に更に目を見開き慌てたように菜緒ちゃんは言葉を落とす。 「知らなかったとはいえ挨拶が遅れてしまってすみません、 私あの杉浦 菜緒です」 初めましてとガバっと菜緒ちゃんが頭を下げると今度は桜課長が戸惑ったような表情で慌て出す… 「じょ、上司なんて言っても形だけで。 仕事も杉浦くんの方が全然出来るし、立ち位置も彼の方が上なのっ だから、私なんて偉くもなんともなくて…そのっ」 「何言ってるんです? 貴方はれっきとした俺の上司なんですから そんな謙遜する必要はないですよ」 自信なさ気な桜課長の言葉に、ちゃんと認めているから大丈夫だと諭すような杉浦さんの言葉を聞いて彼女は恥ずかしそうに頷いた。 確かに会社の中では杉浦さんの方が立場が明らかに上だし、一部の社員からは どうして彼女が課長になれたのか異議をとなえる奴もいる。 だけど部長が何か思うところがあって彼女を課長にしたんだろうし、それは今更何を言っても変わらない。 まあもし杉浦さんが蹴落とそうと思えば簡単に落とせる訳だけど、役職なんかにこだわっていない彼は完全に彼女のフォローにまわっている。 そこはやっぱり凄いと思う。
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