54人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
確か、菜緒ちゃんこっちに来てから知り合いもいなくて出掛けたり話せる相手もいないから寂しいって言ってたっけ。
桜課長は彼女より年上だけど、境遇が同じなだけに仲良くなれるかもしれない……
そう思い少し考えた後、まだ恥ずかしそうに顔を赤く染めながら側に立つ桜課長に視線を向けた。
『今日、杉浦さんちに行こうと思ってたんすけど、良かったら桜課長も一緒に行きます?』
「え! 本当に? あ……でも私が行ったら迷惑じゃないかな?」
『ん~大丈夫だと思いますよ、杉浦さん、彼女の為になる事なら絶対抗ったりしないと思いますから。
それに杉浦さんの奥さん地方から出て来たばかりであまり知り合いがいなくて寂しがってるんすよ……
だから桜課長と仲良くなれたらいいなあって考えたんですけど』
他の社員達が一分一秒を惜しんでキーボードに指を滑らせている中、自分と桜課長の間には穏やかな時間が流れていた。
「い、いいのかな、私で。 でもねでもでも…すっごく嬉しいの!
実は私も今の役職についてから仕事が忙しくて付き合い悪いって友達からうとまられてたから
だから仲良くなれたらすっごく嬉しい」
両手を合わせてニッコリ笑う彼女は、じゃあさっそく仕事片付けてくるわね。 なんて足取り軽く自分のデスクに戻って行く。
その後ろ姿を見つめながら俺は鞄から携帯を取り出した…
とりあえず杉浦さんに今日行く事だけは連絡入れておかなきゃな。
最初のコメントを投稿しよう!