再生

2/19
前へ
/22ページ
次へ
ゆったりと、どこかふわふわと漂うような感覚のまま離れていく。 遠ざかる地上の人影。街並み。 穏やかな風に揺れる木々の葉は、夕日の色を浴びて濃いオレンジに染まる。 何もかもが溶けていく。その色に。 規則的な機械音と、わずかに軋む音を携えながら、私たちもその中に溶かされる。 圧倒的なその景色に、お互い言葉を失ったまま、ただじっと見入っていた。 残された時間はもうわずかだということは、わかってた。 それでも、その時の私たちには、ただその色の中でじっと想いを馳せることしかできなかった。
/22ページ

最初のコメントを投稿しよう!

252人が本棚に入れています
本棚に追加