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どれくらいの時が過ぎたのだろう。
地上よりも空がずっと近くなっていた。
「…すごいな」
ぽつりと呟いた声が、静かに耳に届く。
うん、とだけ頷いて視線を彼の方に向けた。
視線の先の横顔が、ゆっくりとこちらを向く。
きっと私も、同じ表情で彼を見つめてる。
どこか遠くて、どこか苦しい。
こんなにも近くにいるのに。
お互いの居場所が空に近づくにつれて、ギシギシと軋む機械の音ばかりがやけに耳についた。
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