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「観覧車、この前乗ったのいつだったかな」
遠い目をしながら、彼が言う。
「…いつだったっけ。どこかの遊園地で乗ったよね」
「そのどこかって、どこだったかな」
「あ、ほら。すごい寒い日でさ、寒い寒いって言いながら…」
「あぁ、そうだったな。…あれ?でもそれが最後だったっけ?」
「え?そのあとどこかで乗った?」
「あれは?あの、海のそばの―」
「え、あれって高校生の時じゃない?」
記憶の中の観覧車の思い出を並べながら、2人で首を傾げた。
「…昔のことすぎて思い出せないな」
「…そうだね」
ふっと顔を見合わせて、私たちは笑った。
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