252人が本棚に入れています
本棚に追加
「里佳(りか)」
声のする方に顔を向ける。
「こっち」
おいで、と広げられた腕。
揺れる車体の中でそっとその中に包まれる。
「…観覧車、もっと一緒に乗れたらよかったのにな」
静かにそう言った稜(りょう)の言葉に、喉の奥に熱が込み上げるのを感じた。
「…また来ればいいでしょ」
私はちゃんと笑えているだろうか。
『また』がもうないことなんてお互いとっくにわかってた。
ここでこうして見る景色が二度と同じでないように―
最初のコメントを投稿しよう!