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朝の通勤ラッシュを乗り切り会社へと到着する。
首に下げた社員証を機械に向けピッと認証されるのを待ってると警備のおじさんが軽やかな声を出し近付いて来た…
「お。 朝比奈(アサヒナ)ちゃん今日は早いね?」
『はい…。遅刻ばかりしてられないから』
なんてニッコリ笑い開いた入口のゲードを軽快なあしどりで潜った…
たまたま早く目が覚めただけなんて恥ずかしくて言えない…
………。
エレベーターホールに着いて4つある内の1番近いエレベーターの前で立ち止まると隣のエレベーターに千夏(チナツ)がいるのが見え手を振る…
「ビックリした!?
幽霊かと思ったじゃん、こんな早くから菜緒が出勤するなんて雪でも降るんじゃない?」
雪って失礼な…
笑う千夏を横目で睨む…
千夏とは高校の時からの同級生で、彼女がこの会社に入ると聞いて一か八かで私も受けたら
なんと…受かってしまった。
千夏と私…本当に対照的な性格で、何をやらせても上手くいく彼女とは違い
私はいつもドジばかり、成績も会社での立ち位置も真逆。
「今日はちゃんと目覚ましで起きれたんだ?」
『ま~ね』
にやにやしながら得意気にそう言えば軽く頭をこつかれる…
「いつもギリギリになって久志(ヒサシ)君に起こして貰うくせして威張るな。」
『……そ~だけど、彼氏なんだし良いじゃんそのくらい』
「まったく」なんて呆れた顔を浮かべる千夏に笑いかけてると頭上から声が降って来た…
「……菜緒!? ビックリした
今、電話しようかと思ってたんだよ」
見上げた先にいたのは今噂してた海本久志…
こっちも高校の時からの同級生で私とはその時から付き合っている…恋人。
「久志君、今日雪が降るから帰り気を付けた方がいいよ…」
「ん? 雪?朝天気予報見て来たけど雪なんて言ってなかったけどな」
千夏が放った冗談に真面目に答える久志に呆れ肩を軽く叩くと千夏はお腹を抱えて笑い出す…
『笑い過ぎだから』
「だって…あははっ」
ポーン…と開いたエレベーターの扉に首を傾げる久志の腕を引きボタンを押すとエレベーターは閉まり
私達の職場となる8階へと上がって行く…
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