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鈍い音と共に、液体を弾く音を響かせ死体が落下する。
ネズミは男が着ている服の襟を掴み引き摺り始めた。入り口に停めている車まで運ばなくてはいけないのが一番面倒だ。
十分ほど経っただろう。ようやっと車の元へたどり着いた。ネズミは死体を後部座席に押し入れ、車を発車させる。バックミラーには死体の顔が丁度映る形になっていた。
「胸くそ悪いな」
ネズミは合意にバックミラーを叩き割った。どうせこの車も用が済めばすぐに捨てる予定だ。
異臭が立ちこめてこないよう、車にはこれでもかというほどの芳香剤と消臭剤が置かれていた。しかし、なかなかどうして妙な臭いが車内に立ちこめる。ネズミは仕方なく窓を開けた。
窓を開け、不意に横道に目をやった。随分先ではあるがパトカーが見えた。野次馬のような集団も集まっていたから事故があった後なのだろう。ネズミは仕方なく車を右折させた。少し遠くなるがこうするしかない。もし警察に捕まって後ろの死体でも見られたらお終いだ。それに、ネズミは無免許でもあった。
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