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そんな首を切られる五秒前の気分を味わえるやり取りがあったのだ。
竜慧としては何もなかったとはいえ、他国の戦闘区域に玉穂が向かうことになった原因を作ったことに大変ご立腹。
そんなに暴れたいなら仕事をくれてやるとばかりにどんどん仕事を送りつけてきた。
前金とばかりに受け取った小烏のこともあるので中々断れない。おそらくそれも計算のうちだろう。
経験が積め、報酬も出るので損はしないのだが、さすがに仕事量が多い気がする。
『でも、夜刀さんはお姉様に大変気に入られていますね』
「あれで?正気かお前」
あれを好意と呼ぶなら、人は悪意で世界を滅ぼせる。
『高天原のトップから直々に仕事が貰えるなんて凄いことなんですよ。本来は地域の支部が仕事を斡旋するのが普通ですから』
社長からご指名受けてるようなものなのだろうか、と自分なりの常識に当てはめてみる。
『それにちょっと依頼書を拝見しましたが回している仕事はどれも好条件なものばかりです。贅沢は言えませんよ?』
確かに依頼をこなすうちに自分の実力というやつについて色々分かってきたが…
「釈然としないなぁ」
◆
「じゃあ、行ってきマス」
「おう、頑張ってこいよ」
「落ちろ落ちろ」
声援に送られて(一人違うが)フェリシアがカバンを背負って出て行った。
今日はフェリシアの編入試験の日だ。これに合格すれば晴れて彼女もうちの学校の中等部に編入できる。
「……さて、寝るか」
後姿を見送った後、今日は久々に何もない日なので部屋に戻って寝ようかと思ったら――
―――――ピリリリリ
また着信だ。
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