91人が本棚に入れています
本棚に追加
私、藤枝静乃はかなりピンチ状態である。
「何してんの?静乃?泳がないの?」
「あ、うん・・・」
カナヅチなのに何で!
何で海来てるんだろ。
どうしよう、素直に言えない!
こいつ、カナヅチなのに何で海来てるんだよって思われちゃう!
いざ、海に皆と入るも、どうしたら良いか分からない。
「奥の方行くー?」
「お、良いね。競争する?」
えぇっ!?
やっぱり、体調悪いとか嘘つくべきなのかな。
けど
「藤枝さんは泳がないの?」
いきなり佐倉くんから声をかけられ、私はドキッとする。
「え?」
「高岩らはビーチバレーするみたいだけど」
「ど、どうしよっかなー」
今日来たのには理由がある。
それは
「佐倉!競争しよー!」
「はーい!ね、藤枝さんも奥の方行こうよっ」
「あ、うん!」
佐倉くんは友達の元へ。
ーー佐倉大知くん。同じクラスの男の子で爽やかで優しい雰囲気をもつ、クラスの王子様。
皆に優しいからいつも彼の周りには人がいる。
好きになったきっかけは本当に単純だった。
私が先生に頼まれものをして重い荷物を運んでたら持ってくれたり、クラスでは目立たない方な私にもわりと話しかけてくれたから。
今日海に来たのは佐倉くんが来ると聞いたからだ。
クラスの内の7人で私は旅行に来たのだ。
そして今は皆で海!
だけど
「佐倉、あたしあんま息継ぎ上手くできないんだよねー」
「そっか。じゃあ、俺教えてあげるよ」
「わあ、ありがとう!」
りっちゃんは私と特に仲が良い女の子。
だけど
佐倉くんとは中学が同じでとても仲が良い。
りっちゃんは良いなぁ。
あんなフレンドリーに話せるなんて。
でも
りっちゃんも息継ぎ苦手言ってたし、私も素直に言って教えてもらうべきかな。
皆のいる方に向かって私は歩き出す。
あれ、深い・・・
すると
一瞬の事だった。
転びかけたかと思ったらもうすでに空が見えなくなっていた。
見上げると、水面。
ああ、私は溺れているのか。
意識が遠のく感じがした。
このまま私は片思いなまま・・・
こんなの・・・
だけど
一瞬人影が見えた。
誰・・・
気付いたら私の意識は飛んでいた。
夢、なのかな?
顔は分からない。
だけど
男の子の唇が私の唇を塞いでいるという事は分かった。
目を覚ますと近くに男子はいなかった。
夢?
それにしては感触が残っているような・・・
最初のコメントを投稿しよう!