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その後は二人で並んでテレビを観た。
家族といる時と同じくらい安心した。
さっきまで辛かったのに。
気付いたら私は眠っていた。
「ん・・・」
目を覚ますとブランケットがかかっているのに気付いた。
「おはよう」
「あ、あれ!?私、ここで寝ちゃってた!」
黒澤くんに声をかけられると、私はすぐさま起き上がった。
「今、8時だぞ」
「わ、私さすがにホテル帰らないと・・・」
「そうか」
「あ、あの・・・色々ありがとう。ごめんなさい、迷惑かけて・・・」
「いや・・・」
「今度は個人的に来るよ!ちゃんとお礼させて?」
「え?」
「とりあえず着替えなきゃっ」
「脱衣所貸してやる」
私は脱衣所で昨日着ていた服に着替える。
戻らなきゃいけないんだよね・・・
憂鬱・・・
「もう行くのか?」
「うん。皆、朝から観光行くって話してたし。帰るって早く言わないと」
「そうか」
「色々本当にありがとう!じゃあ・・・」
私は黒澤くんにお礼を言うと、ホテルに向かって歩き出した。
あの出会いはひと夏の出会いで終わると思っていた。
けど
本当は違った。
私はまだ知らない。
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