第1話

15/17
前へ
/262ページ
次へ
昼休みになると、りっちゃんに声をかけられた。 「さっき黒澤くんが言ってた話、気になってたんだけど」 「う、うん」 私はりっちゃんと共に使われていない教室へ。 「私・・・見たんだ。りっちゃんが佐倉くんと浜辺でキスしてるの」 私は勇気を出して伝えた。 「え?」 「どうして?私が佐倉くん好きって知ってたよね?」 「だって、人の好きな人って魅力的に見えるもの」 え? りっちゃんはいつものりっちゃんではなかった。 「でも、あいつはだめ。全然あたしに見向きもしなかった。だから、もういい。今は黒澤くんのが気になるし」 「何で・・・」 「あんただけって事。友達と思ってたのは」 「ひどい・・・」 「あたし、マイ達とお昼食べるから。じゃあね、藤枝さん」 呆然としてしまった。 私はやっぱりその程度の存在だったんだ。 悔しい・・・ 「一人になっちゃったんだ・・・」 涙が頬を伝う。 だけど ーーーガラッ。 「こんな所にいやがったか。おい、お前いねぇと飯食えねぇだろ」 黒澤くんがいきなり来た。 「黒澤くん・・・」 「もう泣くな。何全て失ったみたいな顔してんだよ」 「へ?」 「俺がいるだろーが、アホ」 黒澤くんは私の髪をぐしゃっとする。 「な、何すんのさ!」 「俺はお前を裏切る気ねぇよ」 「え?」 「だから、これからは俺といりゃ良いんだ」 また、だ。 私が辛い時、いつも彼が現れる。
/262ページ

最初のコメントを投稿しよう!

91人が本棚に入れています
本棚に追加